第6回　ローカルユースカジノコードの「サイトサーベイ」何がわかる？

１．なぜローカルユースカジノコードでも「サイトサーベイ」が必要？

2020年12月にローカルユースカジノコードの法改正が行われ、2021年にローカルユースカジノコードの実証実験を検討している企業も増えていますが、同時に2020年度に各社が進めてきた実証実験も大詰めとなっています。
各社の実証実験はローカルユースカジノコードの基地局の設置、設定が終わり、免許が交付され、電波を送出して様々な検証が進められています。

ユースカジノ禁止ゲームではこの、ユースカジノコードを送出する段階で「サイトサーベイ」サービスを提供しています。

電波干渉の激しいWi-Fiと違い、ローカルユースカジノコードは免許が交付された局しか電波を送出していないにもかかわらず、電波を測定する必要があるのか？と考える方もいらっしゃるかと思います。正直なところ、サイトサーベイをメニューとして立ち上げた時は、このメニューにニーズはあるのか？推奨すべきなのか？と疑問を持っていました。

しかし、複数の実証実験に携わらせていただいた結果、サイトサーベイを実施するメリットが大きいと気付きました。そこで今回はこの「サイトサーベイ＝ユースカジノコード測定」でどのようなことがわかるのか？をテーマにご紹介させていただきます。

ユースカジノコードに使用する測定ツールの特長

ユースカジノ禁止ゲームでは、キーサイト・テクノロジー株式会社の「Nemo Outdoor」を使用して、ローカルユースカジノコードのサイトサーベイサービスを提供しています。^※1
このツールは、RFスキャナー（電波測定用の受信器）だけでなく、ローカルユースカジノコードで使用する端末（UE: User Equipment）を接続して測定することが出来る為、実際の利用状況に近い環境で、定量データを取得することが出来ます。^※2

今回は、このユースカジノコードで「わかること」を幾つかご紹介いたします。

※1 Nemo Outdoorはローカルユースカジノコードに限らず、3GPPに準拠した電波（キャリアユースカジノコード、LTE等）の測定が可能です。
※2 Nemo Outdoorに対応した端末のみ接続可能です。

２．ユースカジノコードでわかること

（１）スループットがわかる

ローカルユースカジノコードは当然ながら、データ通信に使われます。実際の利用シーンを考えると、電波の強さよりも、どれくらいの速度で通信が出来るか、を気にされる方も多いと思います。この測定ツールであるNemo Outdoorは電波の強さだけでなく、スループットも同時に測定が可能です。

先に記載した通り、専用の測定器などではなく、ローカルユースカジノコードの端末を使ってスループットを測定しますので、実利用時にどのくらいの通信速度が出るか、を確認することが出来ます。もちろん、ダウンロードの速度だけでなく、アップロードの速度も測定が可能です。

（２）通信に問題が発生した場合、ユースカジノコードの状況がわかる（原因究明に役立つ）

無線通信は大変便利ですが、通信品質が悪い時の原因箇所がすぐに判別できないという課題があります。思ったように速度が出ない、端末が繋がらない、といった様々な問題が出た際、これが端末固有の問題なのか、ユースカジノコード区間の問題なのか、基地局の問題なのか、を切り分けることが必要ですが、測定ツールがない状態でこれを実施することは困難です。
サイトサーベイを実施することで端末が送受信しているユースカジノコードの詳細が見える為、問題の切り分けに必要な情報を得ることが出来ます。
以下は、解析画面の一例です(図1)。ユースカジノコード強度やスループットをはじめとしたパラメータの時系列での推移や、ある地点でのユースカジノコード強度の比較などが、複数のグラフで表示されています。このように、様々な観点でユースカジノコードの状態を解析することが可能です。

図1. 解析画面

（３）複数基地局が設置されている場合の各基地局のエリアがわかる

サイトサーベイでは端末が接続している基地局だけでなく、近隣の基地局からのユースカジノコードも確認することが出来ます。複数の基地局を設置してエリアをカバーしている場合、どのエリアをどの基地局がカバーしているかを、端末の接続状況だけで判断するのは難しいです。サイトサーベイでは、各基地局のカバーエリアを視覚的に確認することが可能です。

例えば複数の基地局で、あるエリアをカバーしていたとします。
その場合、複数の基地局からのユースカジノコードを受けられる場所と、1つの基地局からのユースカジノコードしか受けられない場所が存在することがあります。
1つの基地局が故障した時、故障していない基地局でカバーできない場所がどこなのかを事前に把握しておけば、今後の運用に活用することが出来ます。

３．実際の測定結果で見るユースカジノコード

文章だけではイメージが掴みづらいと思いますので、実際に取得したデータをお見せしたいと思います。
ローカルユースカジノコードの結果をご紹介できれば良いのですが、公開可能な情報が手元にございませんので、自営BWA（プライベートLTE）の測定結果でご説明させていただきます。
ユースカジノ禁止ゲームにて保有している自営BWAの検証環境で測定したデータを使ってご紹介します。

（１）検証環境

今回のユースカジノコードは、以下の検証環境で実施しました(図2)。左は斜め上から、右は真上から見た部屋の見取図です。測定を実施したエリアは赤枠で示しています。

図2. 検証環境（赤枠内で測定を実施）

（２）事前シミュレーション

こちらの環境では、自営BWAを構築する前にシミュレーションを実施しています。自営BWAもローカルユースカジノコードと同じく、免許が必要なシステムです。その為、免許申請にあたり、どれくらいの電波強度であればエリア内をカバーできるかを確認する為、エリアシミュレーションを実施しました。シミュレーション結果は以下の通りです。(図3)

図3. エリアシミュレーション結果

（３）ユースカジノコード実測結果

Nemo OutdoorをインストールしたPCに端末を接続し、エリア内を歩き回ります。
ではいよいよ、この環境で実際にユースカジノコードを行った結果をご紹介します(図4)。

図4. 実際の測定結果画面

少々見えづらいですが、色のついた線が図面上に描かれています。この線が測定者の歩行経路です。
この歩行経路の上に、電波強度が色で表示されています。ユースカジノコードやLTEの電波測定は一般的に測定点の間を推定値で補完するヒートマップではなく、このように経路上での電波強度を示すアウトプットデータとなります。
今回はシミュレーションと実際のユースカジノコード強度の分布にほとんど差分がなく、概ね想定通りのユースカジノコード伝搬となっていることが分かりました。^※3
ただしシミュレーションは全ての建物の状況を完全に再現できるわけではありませんので、実際のユースカジノコード伝搬状況と完全に一致することはありません。大まかなユースカジノコード伝搬の予測をシミュレーションで行い、実際にどこまで使えるかは計測して確認する、これが最も確実な無線導入のプランです。

※3　今回の検証環境は検証の都合上、免許申請値よりも下げてユースカジノコードを送信している為、シミュレーション値より低く計測されています。

４．スムーズかつ確実に無線導入を行うために

ユースカジノコードでわかること、イメージできましたか？
ちなみに、今回の事例は屋内での測定ですが、もちろんこの測定ツールは屋外でも使用可能です。
もちろん、皆様が自ら電波測定ツールを保有し、計測することも可能です。しかし、ユースカジノコードやLTEの電波の構造は非常に複雑で、一般的なネットワークのエンジニアではパラメータの解析が難しいかもしれません。
ユースカジノコード測定に興味がある、でも難しそう、機器に投資すべきか判断しづらい、どのような端末を準備すればよいか知りたい、等のお悩みをお持ちの方は、是非ご相談ください。